神戸地方裁判所 昭和45年(わ)92号 判決 1972年7月19日
本店所在地
神戸市生田区三宮町三丁目一八番地
株式会社 セリザワ
右会社代表者代表取締役
芹沢利雄
本籍
神戸市生田区三宮町三丁目一八番地
住居
同右
会社役員
芹沢利雄
大正一五年三月二六日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官蓮井昭雄出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告会社を罰金五〇〇万円に、被告人芹沢利雄を懲役八月に処する。
被告人芹沢利雄に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
訴訟費用中証人香川英生、同竹下和博に各支給した分は被告会社と被告人芹沢利雄の負担とする。
理由
一、罪となるべき事実
被告会社は、神戸市生田区三宮町三丁目一八番地に本店を置き、衣料品洋品雑貨の販売等を営業目的とするもの、被告人芹沢利雄は、被告会社の代表取締役社長であつて、その業務全般を掌理しているものであるが、被告人芹沢利雄は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は六七、一七三、一五二円で、これに対する法人税額は二二、八四一、一〇〇円であつたのにかかわらず、売上除外、架空仕入の計上等によつて所得を除外し、これを架空名義で預金しまたは貸付信託を設定する等の不正の方法により秘匿したうえ、昭和四二年二月二七日、所轄神戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三〇、三六六、四七五円でこれに対する法人税額が九、九六六、一六〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もつて偽りその他不正の行為により正当税額との差額一二、八七四、九〇〇円をほ脱し
第二、昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は九四、九二六、〇一五円で、これに対する法人税額は三二、二八八、〇〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ、昭和四三年二月二七日、所轄神戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五三、四五一、九〇二円でこれに対する法人税額が一七、七七六、七〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もつて偽りその他不正の行為により正当税額との差額一四、五一一、三〇〇円をほ脱し、
第三、昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額は一一三、一七〇、八四二円で、これに対する法人税額は三八、〇六五、六〇〇円であつたのにかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿したうえ昭和四四年二月二六日、所轄神戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七五、四五二、七四四円でこれに対する法人税額が二四、八六九、一〇〇円である旨の虚偽の法人税額確定申告書を提出し、もつて偽りその他不正の行為により正当税額との差額一三、一九六、五〇〇円をほ脱したものである。
二、証拠
一、被告人芹沢利雄の当公判廷における供述
一、同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書七通および検察官に対する供述調書
一、被告会社の法人登記簿謄本および定款写
一、法人税確定申告書(附属書類を含む)謄本三通(昭和四二年二月二七日申告の分は判示第一、昭和四三年二月二七日申告の分は判示第二、昭和四四年二月二六日申告の分は判示第三につき)
一、大蔵事務官河上義次作成の昭和四一年度ないし昭和四三年度の各脱税額計算書および各脱税額計算書説明資料(損益)(判示第一ないし第三につき)
一、証人竹下和博の当公判廷における供述
一、浅海洋子、井上利男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、佐々木純一の大蔵事務官に対する質問てん末書(第三の事実につき)
一、芹沢尚子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通および検察官に対する供述調書
一、芹沢好美の大蔵事務官に対する質問てん末書四通および検察官に対する供述調書
一、芹沢貞雄の大蔵事務官に対する質問てん末書三通および検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官河上義次作成の調査書(総勘定元帳)(補助元帳)各一通
一、大蔵事務官香川英生作成の調査報告書三通
一、証人香川英生の当公判廷における供述
一、大蔵事務官香川英生作成の銀行調査書二通
一、大蔵事務官河上義次作成の銀行調査書五通
一、芹沢好美作成の確認書(株式会社セリザワ大丸前店B勘定売上簿、売上実績記録帖検討表)
一、芹沢貞雄作成の確認書(株式会社セリザワさんちか店売上実績記録帖検討表)
一、被告人芹沢利雄作成の確認書二通(株式会社セリザワ三宮センター街店部B/O売上帖検討表一通)(被告人芹沢利雄作成の大蔵事務官河上義次宛確認書一通)
一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書
一、大蔵事務官作成の差押てん末書四通
一、押収にかかる店別売上帳一綴(昭和四五年押第二七七号の七)、納戸内B勘定売上簿一綴(同号の八)、三階納戸内B勘定売上簿一綴(同号九)、さんちか売上実績記録帳一冊(同号の一三)、富士三宮貸金庫内定期預金利息計算書一綴(同号の二五)、協和、神戸定期利息計算書一綴(同号の二六)、貸付信託利益計算書一綴(同号の二七)
判示第一の事実につき
一、押収にかかる昭和四一年度元帳一綴(同号の三)、大丸前紳士部売上実績記録帳一綴(同号の一一)、納品書綴(アトリエレイ)一冊(同号の一八)、四一年度仕入帳一綴(同号の二二)、メモ一綴(同号の二四)
判示第二の事実につき
一、押収にかかる仕入帳(ハーロ、東京関係)一綴(同号の一)、四二年度各店別補助簿一綴(同号の二)、昭和四二年度元帳一綴(同号の四)、金銭出納メモ四枚(同号の一〇のうち)、納品書一冊(アトリエみき)のうち(同号の一九)、仕切複写簿一冊(オクイ、田中)のうち(同号の二一のうち)
判示第三の事実につき
一、押収にかかる昭和四三年度元帳一綴(同号の五)、昭和四三年度仕入帳二綴(同号の六)、納品複写簿(川井)一冊(同号の一四)、納品書綴一冊(マリアンヌ)一冊(同号の一五)、納品書綴(アトリエみき)一冊(同号の一六)、手帳一冊(同号の一七)、納品複写簿(山田商会服飾ジヨリー)一冊のうち(同号の一九)、請求複写簿(川井商店)一冊(同号の二〇)、仕切複写簿(オクイ株式会社田中)一冊のうち(同号の二一)
三、法令の適用
判示第一ないし第三の各所為につき
法人税法一五九条一項、被告会社についてはさらに同法一六四条一項
以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額以下の金額の範囲内、被告人芹沢利雄については各罪の所定刑中各懲役刑を選択したうえ、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金五〇〇万円に、被告人芹沢利雄を懲役八月に処し、被告人芹沢に対し、刑法二五条一項を適用
被告会社および被告人に対し刑事訴訟法一八一条一項本文
(裁判官 八木直道)
右は謄本である
即日同庁
裁判所書記官 岡田功